残高・入出金だけじゃない、送金や出金もできる恐ろしいサービスはすでにみずほ銀行と三井住友銀行で始まっていた
何気なく書いたエントリーにたくさんの方から色々なコメントを頂きました。その中に「LINE Payと一緒でしょ」「三井住友もやってるじゃん」というコメントがあり、「いやいや、そっちはクレジットの決済代行が入るから大丈夫」と思ってコメントを返していたりしましたが、どうも違うようです。こちらはすでに始まって1年が経とうとしているので、認証方法などがより明確なのですが、どうもこちらの方がタチが悪そうです。
LINEがモバイル向け送金・決済サービス「LINE Pay」を提供開始 - ITmedia Mobile
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「恐ろしく」便利なだけなのか?
LINE Payというサービスに申し込めば、口座番号を知らない友人へ送金できたり、ラインユーザー同士で割り勘が簡単にできる。お金が足りなければ友人にカンパをお願いできる、送金手数料もいらない、そんな便利なサービスがLINE Payです。ATMだと他銀行や時間外で手数料をとられ、わずかしかつかない利子よりも多くとられて損してしまうことも。他行に振り込めば振り込み手数料が必要になっちゃうし、でもLINE Payならネット決済も振込み無料!
こう聞くと便利ですが、「タダより高いものはない」とは先人の素晴らしい教えですので、一応色々調べておいた方がよさそうです。
LINEと銀行との間に仲介業者が入るから大丈夫でしょ?
そう、LINEアプリでLINE Payを使うにはちゃんと仲介業者があります。LINE Pay株式会社というLINE(株)の100%子会社が・・・。こ、これは!?
いやいや、そうはいっても幾らなんでも口座番号とかを銀行がLINEに提供したりはしませんよね?絶対そんなことしませんよね~?三井住友銀行の『「LINE Pay」への決済ソリューションの提供について』というお知らせにもあります。
なお、お客さまご自信がLINE Pay株式会社に開示された情報や、開示にご同意された情報を除き、三井住友銀行で保有しているお客さまの情報が、LINE Pay株式会社側に開示されることはありません。
さすが、三井住友銀行様です。銀行の鑑です。顧客の口座番号やその他の個人情報をLINE Pay株式会社に提供するなんて言語道断、当たり前のことを当たり前にやってのける、それでこそ日本の銀行。お客様第一の精神!
ん~っとあとは「お客さまご自信がLINE Pay株式会社に開示された情報や、開示にご同意された情報を除き」の部分ですが、一応チェックしてみると
1.取得する情報及び利用方法
当社は本サービスにおいて次のように情報を取得及び利用いたします。(1) お客様から提供される情報
・ 氏名、住所、職業、性別、年齢、生年月日、ニックネーム、LINE ID、パスワード、パスワードの秘密の答え、電話番号、FAX番号、国籍、電子メールアドレス、携帯メールアドレス、会社名・団体名、部署名・役職、会社所在地、その他連絡先に関する情報、代表者等に関する情報、事業内容、実質的支配者に関する情報その他法人の情報、クレジットカード情報、銀行口座に関する情報、取引目的、免許証・住民票など公的証明書に関する情報、その他本サービスの提供等に付随してお客様から当社に提供される一切の情報
(2) 本サービスの利用に関連して取得される情報
・ クッキー(Cookie)、IPアドレス、端末情報、ブラウザ情報、ブラウザ言語、位置情報、その他お客様の通信ログに関する情報、
・ LINE Cash及びLINE Moneyの発行・購入・移動・利用・送金・換金・消滅に関する情報、注文情報、決済情報、趣味、嗜好、意見、評価情報、その他LINE Cash及びLINE Money並びにその利用等に関連する情報
!!!?第一項目からサラッとすごいことが書いてあるけど・・・。大丈夫なんでしょうか。氏名、住所、生年月日や免許は本人確認のため『取得』はしないといけない情報だと思うのですが『利用』しちゃうの?いや、ベネッセの流出事件や、顧客データの闇売買のことを考えると、もう利用しちゃうからねと大きく書いてくれている方が親切で、かえって信頼できるのかもしれません。しかも一番最初に書いてくれてますからね。もうこれだけハッキリ書いて「規約読んでません」は通じないでしょうし。
5.情報の共同利用
当社は、利用目的の達成に必要な範囲で、お客様情報を当社グループ(当社及びLINE株式会社)と共同利用いたします。
あと気になるのは、これまたしっかり『共同利用する』って書いてくれています。こうなると三井住友銀行の書き方の方が「曖昧な書き方をするな」と問い詰めたくなるぐらいです。
ちなみにLINE Payの舛田淳代表取締役社長は元百度(Baidu Japan)の取締役です。百度は中国では絶対的な勢力を誇る検索エンジンサイトを提供する会社ですが、日本ではクラウド機能をオフにしても勝手にデータを送信しちゃうような、怪しいソフトも作る会社として有名になってしまっています。
また百度(baidu)が日本語入力ソフトの件でやってくれたようです(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース
みずほ銀行さんの場合
みずほ銀行様も三井住友銀行様と同じように、お知らせが出ていました。
『「LINE Pay」へのチャージ機能の提供について』と題したPDF文書がありました。SMBCと少し違うのは注意書きに
当行は、上記振替契約のお申し込みの内容に沿って当行の口座情報等をLINE Pay(株)にご提供しますが、お客様からのご同意、および口座振替契約のお申し込みなく当行の口座情報がLINE Pay(株)に提供されることはございません。
と、口座情報を提供する旨をわかりやすく書いてくれています。嫌ならやるな、やるなら情報みんなで使うからね。ただ、それだけのことです。あとは免責部分とかもちゃんと読んでおくといいですね。
echo-news – LINEの送金決済サービス 契約書面で「安全性を保障しない」と明示 トラブルでも損害賠償請求を制限 契約名義はLINE本体とも別会社と判明
使い方を開設しているページのほとんどがコンビニでチャージ
まぁ、皆さん警戒されているのでしょう。『便利だー!』といってる方も、コンビニでチャージの方法を書いているのがほとんどです。本当にありがたいことに、認証方法や、簡易書留が届くまでを記事にしてくれている個人ブロガーもいます。
12月16日に始まったサービスを翌日の12月17日に「銀行からチャージ簡単にできました。金融業界の未来を変えるサービスだ!」なんていっている方もいました。本人確認に数日~数週間かかるのに。本人曰く30分で登録完了したそうです。仮に30分で書類の本人確認が済んだとして、次に簡易書留でも本人確認をするはずだけどそれだと30分での登録はまず無理で、銀行からのチャージはできないと思いますが、できたというのだから信じましょう。
今のところ大きなトラブルはない?
今のところ見つかるのは「正しくはJPY(円)のところ、USD(アメリカドル)で請求されてしまった」という問題ぐらいです。免責事項で心配したようなめちゃくちゃな対応はしていないし、公式ページ(LINE PayではなくLINEのサイトなので公式と呼べるのかは疑問ですが)にずっとお詫びを載せるというのは真摯な態度に思えます。
当の銀行側も表立って大きく宣伝している様子もないのが気になりますが、手数料も大きく節約できますし、利用方法によっては便利なサービスかもしれまん。もし利用するならば、銀行口座はやはり怖いのでコンビニチャージで、スマホも空っぽの状態で決済専用に使うぐらいですね~。
そういえば、ボーダフォンオーストラリア(Vodafone Australia)のシステムに脆弱性があって、不正に悪用されているという記事を書いたジャーナリストのスマホがハッキングされたというニュースを見ました。しかもハッキングの犯人はボーダフォン。スマホやPCのセキュリティも心配ですが、利用者や管理者のモラルで何とでもなってしまうので、便利さの代償も考えてサービスを利用した方が良さそうです。(というまとめでLINEファンのユーザーからの叱責は免れるでしょうか。)
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