広島の原爆の投下日を教えること、覚えることに何の意味があるのか
さて、カープは昨日よりピースナイターと称して、薄れ行く原爆の記憶について風化させまいという努力を行っています。選手全員が「86」という数字を背負ってプレイするという宗教まがいのイベントです。
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8月6日午前8時15分
これが大人が伝えたい原爆投下の日時です。86という背番号は広島マツダのオーナーに対するトヨタ86の皮肉ではありません。8月6日ということがただ言いたいんです。
なんでも5年前の調査で、広島市の小中学校に原爆投下の日時を尋ねたところ「年」「月日」「時刻」の三つを全て正確に答えられた数字は下記の通りだそうです。前回から新たに高校生も算出してます。
小学校 33%
中学校 55.7%
高校 66.3%
これじゃあいかん、ということで広島カープがちびっこにもっと原爆の記憶を刻み込むべく今回のイベントが発足したわけですが、おじさんはこの投下日を覚えるのに何の意味があるのかすごく疑問です。
この正答率とピースナイターのことについては今朝ZIP!でも取り上げており、「若年層の原爆についての関心の低下、記憶の風化」というように伝えていました。
こんなものは統計の嘘で分母がいくつで、どんな質問をいつどのように聞いたか等も知る必要があります。
5年前の小学生が『SEKAI NO OWARI』を知らないのと同じで、『正答率の減少=記憶の希薄化』とは言い切れません。例えば前日に社会のテストで同様の問題が出ていれば正答率はぐっとあがるでしょうし、直前に原爆特集なる番組が46時中放送されていればこれも影響するでしょう。
今のようにテレビのどのチャンネルをつけても、お笑い芸人、アイドルグループ、ジャニーズしかいない中で、うまく応えられないのは当然ですが、それでも教師が前日に「これテストに出します」と一言いえばグッと得点は上がってしまうそれだけの質問です。
ZIP!でみた中学生は「1995年の8月6日」とか答えていたので、原爆の記憶とかどうとかいうまえに第二次世界大戦のおおまかな年や、終戦についても知らない生徒さんです。こういう生徒に義務教育で税金を注ぎ込んでいることを問題視してもいいぐらいです。
じゃあ長崎の原爆投下日は?
実は同じように長崎の原爆投下日についても質問しており、広島市内の小中高生の正答率は
小学校 4.5%
中学校 12.2%
高校 16.8%
となってます。広島県民だからこそわずかに知っているといってもいい数字だと思います。全国のどの県が、広島と長崎両方の原爆投下の年月日と日時を正確に言えるでしょうか?
しかし、このようなクイズ王の生徒でも、「東京大空襲は?」「名古屋は?」「沖縄の慰霊の日は?」「那覇の空襲は?」「南京は?」「硫黄島は?」「マニラの戦いは?」「真珠湾攻撃は?」ときいたらもう無理でしょう。戦争を実体験した人でさえきっと答えられないこれらの日にちに何の意味があるのでしょうか。
東日本大震災の日付を3月11日と覚えても意味がないんです。「ここには絶対に津波が来る。これより先に住むべからず!」これだけを覚えていればいいはずなのに、ただ日付だけを覚えて黙祷をして、また同じ場所に駅や役所を立てて住居を構えて「復興」としています。結局何も学んでいないのです。
ZIP!に釣られたTwitter民
テレビが真実を伝える情報番組とみると怖いです。たまに映画ですらそういうような見方をする人がいますが、ちゃんと自分で考えないと1995年と答えた中学生よりもタチの悪い大人になる危険性があります。
『日時までは無茶だろう?』そんなことないです。広島の大抵の小学校は8月6日又は前後で登校日になり、強制的に平和学習をさせられますから、それでも日時を答えられないというのは相当のものです。これを毎年他県にいくまで小学校1年生から高校3年生までやるわけですから自然と高校生の方が正答率は高くなります。年が若いほど正答率が悪いというのはそういうカラクリも隠れています。
どこの聖者が原爆投下の日時を知りたいと思って幼少期を過ごすのか。教師に無理やり平和学習を施されて「戦争はだめだ。日本軍はひどい!」こういう感想文を書いて発表するような教育なら廃れた方がましですよ。
これぐらい疑問を持ってみるのがちょうどいいですね。
大切なことは日付じゃない
打った走った守ったのスポーツが、ちょっと政治的なものに口出しするのはあまり感心しませんけど、球場に集まったコレだけ多くの人にこれだけの宗教染みたメッセージを送れるパワーはすごいものです。
ならば、「今日一日だけでも、帰ってから何故アメリカは原爆を落としたのか。一般市民が犠牲になったのに、何故アメリカには一言も文句を言わず日本政府に文句を言うのだろうか。みんな考えてみてねー。」なんて皮肉たっぷりなメッセージでも送ってみるのはいかがでしょう。
最後に、風化させてはいけない記憶
戦後、経営危機に陥りながらも市民の樽募金で見事球団の危機を免れたカープが、球団の利益ばかり優先させて不正行為を行っていたことは忘れてはいけません。
平和が好き、市民が好きと口先ではいっても自分達の利益ばかりを考えて、ファンからは露骨にお金を搾り取る。40年黒字続きなのは、経営戦略も去ることながら、バカみたいに応援してくれるファンあってのことでしょう。
しかし、黒字を優先するあまりに、ファンの望むスター選手をことごとく放出し、あげくのはてには不正なグッズの仕入れなどをする始末。
平和を叫ぶ前に、ファンにもっと誠実であってほしいと思います。